悪女の恋〜偽りの結婚〜

「ただいま~」


「お帰りなさい」


「なんか、美味そうな匂いだな?」


 家に帰ると、魚を焼いたような匂いがした。


「今夜のおかず、秋刀魚の塩焼きなんです」


 そう言って結衣は、ニッコリと微笑んだ。


「おまえが焼いたのか?」


「はい!」


「へえー、それは楽しみだなぁ」


 スウェットに着替えてダイニングへ行くと、結衣は焼きたての秋刀魚を皿に乗せ、俺の前に置いた。誇らしげな顔で。

 秋刀魚はちょうどいい加減に焦げ目が付き、ちゃんとレモンと大根おろしが添えられていた。


「すげえ、美味そー」