遥は俺の胸をペタペタ叩きながらはしゃいだ。


「おい、やめろよ。何はしゃいでるんだよ?」


 俺は遥の手首を掴んでそう言った。


「はしゃいで当然でしょ? 孝司は嬉しくないの? 大金が入るのよ、あたし達に」


「“あたし達に”?」


「そうよ。ねえ、そのお金で家を買いましょうよ?」


「家って、誰の?」


「あたし達のに決まってんじゃん」


「それって、俺とお前が結婚するって事か?」


「そうだけど?」


 当然、という顔をして言う遥に、俺は呆れてため息をついていた。