魔女の幸せ




高くまで本が重なる本棚を迷路のように進めば、日の射す空間がある。

その近くで窓に背を向けて、本の整理をするナーナがいた。




「ナーナご苦労様」


声を掛ければ、「いらっしゃい」とナーナは答えた。



それから、こちらを気にすることもなく、ナーナは黙々と本に向かい合って作業を続ける。


アリアは、ガラス窓から空を見上げて、日の光を浴びていた。



ふっと下を見ると……


花壇の横をゆっくり歩くウィルの姿…

ウィルの隣には、レースをたくさん使った青の綺麗なドレスを着た女の人が居た。


サラサラで艶のある黒髪を腰まで流して、そこから日焼けを知らない真っ白な顔が覗く。

ウィルと二人並べば、美男美女だ…





「…あら、ジュリー姫来てるんだ…」


知らない内にアリアの隣にいたナーナがボソッと呟いた。