時計を見ると、もう夜の8時だった。


コンコンッ


「由樹だけど、あげは起きてる?」

「ええ。どうしたの?」

「いやさ、帰ってきてからあげはの部屋に行ったら返事がなかったから寝てるんだと思って」


心配そうな、不安気な声色。



・・・・私なんかを心配してくれてありがとう。



「ごはんにするけど、食べれそう?」

「大丈夫よ。今いくわ」



出て行った時の格好のままだったから、黒の部屋着のワンピースに着替え、髪をポニーテールにしてリビングに向かう。


リビングにはもう龍星がテーブルの椅子に座って待っていた。


「姉さん、大丈夫?」

「大丈夫よ。心配しすぎ」


ふふっ、と笑って龍星の頭を撫でる。龍星は気持ち良いのか目を閉じてすり寄ってくる。


「あー、龍星があげはに甘えてる」


由樹がそう言って龍星をからかう。

龍星はかあと顔が赤くなって小さく反抗するその姿はとても可愛い。