自分でも信じられないくらい心臓がばくばくしているのが分かる。


さっきのプロポーズよりも、正直何倍も。


違う、違うんだ、俺は俺は...


心の中で何度もそう思いたいけれど、目の前のこいつに俺の今までの
気持ちが全部持って行かれていきそうだ。


男として本当に情けないと思う。



「雛、起きろ」


「あれ?航ちゃん、おかえり?」


ようやく瞼を開いた雛は俺から離れた。
言うなら、このタイミングだよな


「千鶴さんと会ってきたんでしょう?」


「俺、千鶴にプロポーズしたんだ」



別に動揺して欲しいわけでもない


雛の気持ちを知りたいわけでもない


なのに何故なんだ



「おめでとう、航ちゃん」


笑顔でそう答える雛に


どうして俺が動揺しているんだ?