大学の陸上部に入った潤のしつこい勧誘で

俺もほぼ同時期に入部した。


種目は、高校生の頃と同じように短距離。


ときどき足の痛みを感じることもあったけど、毎回思いっきり走るようにしてる。


それに合わせて、毎日のジョギングも再開した。


「最近、梨恋ちゃんはどうよ?まだ中学校は始まったばっかだろ」

「あぁ。何か、制服がセーラーだからって毎日はしゃいでたよ。友達もできたみたいだしな」


俺はそう答えると、そのままスプーンを口へ運んだ。


「そうか……」

「心配するな、まだ彼氏なんていねぇよ」

「は?いや、そう言う意味じゃねぇよ!」

「どんな意味だよ、このロリコンが。……早く食べろ。次の授業に遅れるから」


高校の時と変わらずに煩い潤を無視して、俺はカレーを食べ続けた。



この大学には、桜の木がたくさん植えられてる。


4月も半ばの今は、さすがに満開の時期も通り過ぎてて
枝の先には緑の葉が目立つようになってきる。


でもその光景は、とても綺麗だった。


そうは言っても、ここの桜に麗華の姿が見えるわけじゃない。

もちろん、俺にも潤にも、他の桜の精の姿なんて見えなかった。



桜並木を抜けて、講義棟を目指す。


こんな生活も、2年目に突入していた。