暗闇に、ぼうっと白い花が咲く。 まだ冷たい空気は頬を掠めて 体の表面からゆっくりと熱を奪う。 誰もいない公園を左に曲がって 寝静まった住宅街を抜ける。 左右に広がる並木道を、休まず見送る。 小高く静かな丘を一気に駆け上がると そこは、月が一番美しく見える場所だった。