「…先輩は前園で、私は呼び捨てなんて ……ズルいです」 そう言うと先輩は 私の頭にその大きな手をのせて 「詩織」 って言ってくれた ドキッと私の胸が反応する 先輩の、その低い声に あたしの名前、忘れてなかったんだ もうそれだけで十分だよ…… 「教室、行けるか?」 「もう少しだけここにいます」 「…そ」 「先輩は授業に遅れるので行って下さい」 先輩は床に置いていた かばんに手をかけて 『放課後教室で待ってろ』って言って 私の前から消えた