「良かった。私たち道に迷ってしまって。ここはどの辺りなんでしょうか」
若い男が安堵の表情を作って、黛を見上げた。
「樹海の真ん中ですよ」
「外に出ようとして、奥に入り込んだ訳か」
年配の男が口を挟む。
「そうなりますね」
「外と連絡がとれますか」
「あいにく電話とか無くて」
「そうなんですか。すみません。何か飲み物とか頂けませんか」
「お茶で良ければ」
「ありがとうございます」
黛は二人を居間に通した。
お茶を飲むと、二人は落ち着いた口調に変わった。
「この樹海、自殺の名所ですから、迷った時はどうしようかと」
若い方が続けて話す。
「遊歩道から逸れなければ大丈夫な筈ですが」
黛は、茶を口の中で食べるように飲んでいる年配の男の方を向いた。
「ワシはハラが痛くなってな。隠れて用を足そうとして奥まで入り込んでしまった」
「そのうち霧が出て戻れなくなったのですか」
「そうだ。それで誰かいないか呼んでいると、この若いのに出会った訳だ」
「ええ、そうなんです」
「では、お二人はお知り合いではないのですね」
「そうや」
「私は珍しい鳥を見掛けまして、カメラに収めようと中に入ったんです」
「そうでしたか」
若い男が安堵の表情を作って、黛を見上げた。
「樹海の真ん中ですよ」
「外に出ようとして、奥に入り込んだ訳か」
年配の男が口を挟む。
「そうなりますね」
「外と連絡がとれますか」
「あいにく電話とか無くて」
「そうなんですか。すみません。何か飲み物とか頂けませんか」
「お茶で良ければ」
「ありがとうございます」
黛は二人を居間に通した。
お茶を飲むと、二人は落ち着いた口調に変わった。
「この樹海、自殺の名所ですから、迷った時はどうしようかと」
若い方が続けて話す。
「遊歩道から逸れなければ大丈夫な筈ですが」
黛は、茶を口の中で食べるように飲んでいる年配の男の方を向いた。
「ワシはハラが痛くなってな。隠れて用を足そうとして奥まで入り込んでしまった」
「そのうち霧が出て戻れなくなったのですか」
「そうだ。それで誰かいないか呼んでいると、この若いのに出会った訳だ」
「ええ、そうなんです」
「では、お二人はお知り合いではないのですね」
「そうや」
「私は珍しい鳥を見掛けまして、カメラに収めようと中に入ったんです」
「そうでしたか」