「誰かいないか。開けてくれ」
木で出来た重そうな扉を、ドンドンと叩いた。
何も反応がない。
「おい。開けてくれ。誰もいないのか」
声に悲愴感が漂ってきた。扉を乱暴に叩く音だけが、あたりに響く。
西郷は民家の裏に回った。少し高い位置に、小窓がある。
西郷は荷物を地に置き、民家の壁をよじ登ろうとしたが、なかなか上手くいかない。
何とか狭い隙間に足場を確保し、小窓をズリ開けた。
西郷の体を通すには、小さ過ぎる小窓だ。
しかし、そこから見える山積みにされた、何かしらの食べ物には、手が届きそうだ。
西郷は手を伸ばした。頭と右腕だけが、民家の中へ突き刺さっていた。
西郷はそこで、はっと気付いた。
民家の一室から、じっと見つめる視線を感じた。
ニットの赤いワンピースを着た女が立っている。
窓枠に視界が遮られて顔はよく見えない。体はこちらを向いているのだが、ピクリとも動こうとしない。
木で出来た重そうな扉を、ドンドンと叩いた。
何も反応がない。
「おい。開けてくれ。誰もいないのか」
声に悲愴感が漂ってきた。扉を乱暴に叩く音だけが、あたりに響く。
西郷は民家の裏に回った。少し高い位置に、小窓がある。
西郷は荷物を地に置き、民家の壁をよじ登ろうとしたが、なかなか上手くいかない。
何とか狭い隙間に足場を確保し、小窓をズリ開けた。
西郷の体を通すには、小さ過ぎる小窓だ。
しかし、そこから見える山積みにされた、何かしらの食べ物には、手が届きそうだ。
西郷は手を伸ばした。頭と右腕だけが、民家の中へ突き刺さっていた。
西郷はそこで、はっと気付いた。
民家の一室から、じっと見つめる視線を感じた。
ニットの赤いワンピースを着た女が立っている。
窓枠に視界が遮られて顔はよく見えない。体はこちらを向いているのだが、ピクリとも動こうとしない。