花屋さんの今のお話の相手は
オスネコのジュンでした
いつも膝の上に乗って
顔を見上げてお話を聞いていました
花屋さんをほんとのおかあさんだと思っているのです

ジュンがおかあさんの膝に乗ってきました
顔を見上げています
何のお話をしましょうか
秋だから
お山はどうして紅くなるのかお話しようね

絵描きさんは年をとっても
いつまでも美しい絵を描きたいと思っているのよ
一度描きあげた絵でもその上にまた色を重ねていくのよ
もっといいものを描きたい
もっと美しいものを描きたいという思いがそうさせるの

お山やお空や
木や花や鳥や虫たちをつくった自然の神様もね
自然のいろんなものをもっともっと美しくしたいと
いつもいつも思っているの
きっと今は秋をもっと美しくしようと思っているのよ

お山をどんな赤色にしたらいいか
どこか色が足りないところはないか
何度も何度も色を重ねてたり削ったりしてるのよ
お山を美しくしたいからよ
美しくするとみんながしあわせになれるからよ

あなたもなにが美しいか
美しくするためにはどうすればいいか
一生けんめい考えようね
それは一生かかることなのよ
一生かかって考えればいいことなのよ