「分からないってどういう事?」

「昨日、両想いになったんだけど今までと何も変わらなくて。」

「心ちゃんはどうしたいの?」

「...よく、わかんないかも。」

「佐倉君に聞けば?私達って両想いだよね!?付き合ってるんだよね!?って。」

にやりとした笑みを浮かべながら、尾花さんは言う。

「んー、考えてみる。」

「うん。」

それから仮入部の話にうつってすぐのときだった。ガラ、と教室の扉が開き、数人の女子が入ってくる。

「の、乃木君はまだ来てないわよね?」

女子生徒はきょろきょろと教室をみて、乃木君がいないことを確認してから私の元にやってきた。

「川村さん。」

「なに?」

「ちょっと、来てもらえる?」

廊下を見れば、約10人の女子がたっていた。ごくり、と思わず喉をならす。

「あ、可愛い!今から俺と遊ばない?」

「うるさいわね!アンタは黙ってて!」

場違いな村上君を一喝し、女子生徒はキッと私を睨みつけた。


「古典的な呼び出しだね。」


ぼそり、と尾花さんが呟く。

「早く来なさいよ!」

「え、でももう少しで授業「サボればいいでしょ。」

最近こんなのばっかりだ。まともに授業を受けられない。しかし、授業を優先すればもっと反感を買うだろう。


どうしようか悩んでいると、「私も行っていい?」と尾花さんが言った。

「え、でも、」

「お願い。」

尾花さんが綺麗な笑顔を見せると、女子生徒は渋々了承してくれた。