風呂からあがった俺は一度部屋に戻った。けど、心はいない。乃木がいうように、外に行ってしまったのだろうか。春になったといっても、まだ外は肌寒い。「...。」探しに行こうかな。いや、でもあんなことのあとだし。

「...。」


___行動くらい男らしくしろっちゅーねん


乃木に言われた言葉が脳裏に過る。このままじゃ、本当に格好つかない。俺は部屋を飛び出した。










ボロい寮を出て、心を探した。食堂、噴水広場、中庭。けど、どこを探してもいない。学校はもう閉鎖されてるからいないだろう。今度は違う意味で焦ってきた。俺は携帯を取り出し、心に電話をかける。(はじめからこうすればよかった!)


♪~♪~

4コール目で、繋がった。


「お前今どこにいるんだよ!」

『...理来こそ、なんでそんなに慌ててるの。』

「心配だからだろ!」

今は恥ずかしさとか、そんなのどうでもよかった。

暫く間が開いたあと、心がぽつりとつぶやく。


『...後ろにいるよ。』


「へ?」

ばっと振り向けば、そこには携帯を耳にあてた心がいる。

「お前、いたなら声かけろよ!」

「凄く慌ててたみたいだから、何時声かけようか悩んでたの。」