心が通話を終えて行ってしまったあとも、しばらく動けなかった。
「好きって、言ってた。」
口にだして確認すれば、ズキズキと胸の奥が痛む。(嫌だ)心に彼氏ができるなんて、許せない。やっぱり俺、心のこと好きなのかな。
ずっと一緒だったから、単に嫉妬してるだけかと思った時もあったけど違う。だって、じゃなきゃ、こんなにどきどきしたり苦しくなったりしない。
(俺、馬鹿すぎる。)
気付くの遅いだろ!今まで散々一緒に居たのに。なんで気づかなかったんだ。もっと早くに気づくべきだった。中学の時は心に好きなやつはいなかったはず。なら、高校に入ってから好きな人できたのかな。
翔か?いや、でもあいつ変態だし女たらしだしな。乃木、じゃないよな。あいつ、乃木のこと少し怖がってたし、まさか、薫?
「ありえる。」
心とクラス一緒だし、仲良さそうだし。っていうかあいつのまわり男ばっかじゃん。心配になってきた。とにかく薫に渡したくない。心の気持ちを尊重するべきなんだろうけど、とにかく嫌だ。
俺は走った。心がとられてしまうかもしれないと思っていたから、少しぱにっくになっていたのかもしれない。
浴場につき、迷いなく女風呂の扉を開けた。
「心!」
「きゃああああー!!なんではいってくるのよ!!」
丁度、下着を脱ごうとしていたところだった。俺は気にせず彼女の肩を掴む。
「な、な、なんなの!でてってよへんたい!」
「俺、やっと気づいたんだ。心が好きだ。」
ムードも何もない、最悪な状況で俺は告白してしまった。心はいろんな意味で顔を真っ赤に染めて俺の頬をおもいっきり叩いた。
ぱあん!
良い音が寮中に響いた。


