「え、いや、会うのはいいと思うよ!私が言える立場じゃないし!」
慌ててそういうと実夏は『あんたが良いって言うならあわせるけど、駄目って言うなら断るよ。』と言う。何この二択。どうすればいいの。
『ふふ、まあ急ぎの用でもないしまた今度聞くわね。正直、好きかもしれないんでしょ?』
電話の向こうで、にやにやと笑っている実夏を安易に想像することができた。けど、否定もできない。実夏に言われると、好きなのかもしれないという気持ちになる。
「うん、好きかも。」
幼馴染で、親友という関係が壊れることが少し怖くもあった。だから、素直にこの気持ちを受け止められない。
『そっか。まあ、時間はいっぱいあるんだし何か変わったらいいなさいよー。』
「うん、そうする。実夏、今度遊ぼうよ!いっぱい話したい事あるし。」
『いいわよー。土日なら基本あいてるから。』
「了解!」
じゃあ、今からお風呂行くからまたね。と言い電話をきる。
浴場は寮を使用している人しか使わないために毎日が貸切状態だ。
男女に別れているし、女風呂は私1人しか使わない。
久しぶりに実夏と話せたことが嬉しくて、鼻歌を歌いながら一階にある浴場へと向かった。
___理来サイド
心が浴場に向かったあと、俺も風呂に向かおうと部屋を出る。
階段付近で、心が誰かと電話をしている姿が目に入った。
(誰と話してんだろ)
この位置からじゃ良く聞こえない。
「___会うのは___立場__ないし!」
心の顔が赤い。ただの友達と話しているにしては可笑しい。
「うん、好き__。」
その言葉を聞いた瞬間、足が止まった。(好き?心に、好きな人?まじで?)


