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「あー、マジ無理死ぬかと思った。」
理来の顔色はやっと良くなってきた。私は彼の横に腰かけて背中をさする。その行為に一瞬体をびくつかせたが、理来は何も言ってこなかった。
「理来、明日この部屋に荷物運んでもいい?」
「うん、手伝うよ。」
「ありがと。」
シン、と静まり返る。不思議と、緊張感があたりをうめつくす。
「私、お風呂行ってくるね。」
「ああ、うん。」
部屋の空気から逃げるように私は理来の部屋をあとにする。
怖いと思いながらも一度自室にもどり、必要なものを即座にとると、浴場へと向かった。
浴場に向かう途中、なぜだかわからないけど胸がどきどきしてることに気づいてしまった。脳内に繰り返されるのは、今日、教室で言われたひとこと。
(…私、なんでこんなに理久のこと気にしてるんだろ…)
「...。」
♪〜♪〜
色々考えこんでいたとき、携帯が鳴った。
ディスプレイには中学のときの友達の名前。
『心、久しぶり!』
「実夏、久しぶり!」
『まあ、いろいろ他にも話したい事あるんだけど、アンタって理来君と付き合ってたりする?』
「え?付き合ってないけど。急にどうしたの?」
『私の高校の友達がねー、卒アル見せたら理来君に会いたい!ってしつこいのよ。心が理来君の事好きなら、断るんだけど。』
「うーん...。」
正直、自分の気持ちがわからない。こういう展開は少女漫画でなんどか読んだことある。ここで「協力するよ!」って言って、後で後悔するパターンだ。
『理来君の事気になってるの?』
ぼ、っと顔が真っ赤になった。(え、あ、何コレ。顔熱い。)
「わ、わかんないけど...そうかも。」
『そっかそっかー。なら会わせるのはやめとくね。』


