肩を落として、職員室を後にしようとした時だった。先生は「あ。」と小さく声をあげたあと私達を見る。

「もし、本当に幽霊が出るんなら村上がどうにかできるんじゃないか?」

その一言で私と理来の視線が村上君に向いた。彼はぎくりと肩を揺らし「無理っすよ!」と言い返している。


「何が無理なんだ。村上の実家はあの有名なお寺だろう。村上の祖母はいわくつきの物のお祓いもしてるそうじゃないか。」

「そうなの!?」

「翔、お前のばーちゃんに頼め。」

「えー...俺ばあちゃん苦手なんだよな。」

「頼む!除霊できるか聞いてみて!」

「私からもお願い!」

私と理来が両手をあわせて頼み込むと、彼は渋々携帯を取り出し実家に電話してくれた。私達は職員室をでる。


「もしもし、俺だけどばあちゃんいる?...あー、うん、ちょっと用事があって。かわってくれね?」心底嫌そうな表情をしている村上君は本当におばあさんが苦手なんだとわかった。



「いや、寮の部屋に幽霊でるらしくて。あ、俺のじゃなくて友達の。お祓いとかってできる?へ?友達?...うん、イケメンっていうか、可愛い系。はあ!?ばあちゃんにはじいちゃんいるだろ!.....さ、三万!?...あー、聞いてみる。」


どんな会話をしているんだろう、と気になった時、村上君は私と理来を見て言いにくそうに口を開いた。

「除霊できるけど、3万とるんだってさ。」

「三万!?無料じゃないのかよ。」

「無料にできないこともないけど。」

「ないけど?」

「理来に犠牲になってもらうしかないんだよなー。」

「は?」