廊下にでると白石先生がついてこいよー、と声をかけてから歩きだした。

私は一人で歩きだす。何度かクラスメイトに声をかけようとしたが避けられるのだ。

(なんで!?)

頭の中はそればっかりである。


「ここちゃ〜ん!」

「む、村上君!」

「浮かない顔してどーしたんだ?」

首をかしげて話かけてくれる村上君に少し感動した。
避けないでいてくれる彼は優しい。

「村上君…私、何かしたっけ?」

「え?」

「なんか、避けられてるみたいだからさ…」

肩をおとして言えば村上君は あー… と言葉を濁す。

「嫌われてるわけじゃないと思うよ?乃木東矢がここちゃんに片思いしてるって勝手に解釈したクラスメイトがここちゃんに近づくと危ない!って思ってるみたいでさー」

「えええ!?何それ!私にとっても乃木君にとっても迷惑でしょ!」

「乃木の事になると皆敏感になるみたいだぜ。」


「…はぁ。」

「友達くらいすぐできるだろ!俺もいるし!」

ニカ、と笑う村上君の優しさに救われた気がした。

礼を言えば お礼は体で払って! と言われて思わず彼の頭を叩いてしまった。


暴力はんたーい!と叫ぶ村上君を無視して早足で歩きだす。


…私は悪くない、たぶん。