「え、もしかして乃木東矢の彼女って噂は嘘?」

クラスメイトがぽつりと呟いた。

「だと思ったー。」
「やっぱり噂だったんだな。」

クラスの雰囲気は穏やかなものへと変わり、生徒達が口々に安堵の言葉をあげる。


理来のおかげで疑いが晴れたはいいが、勝手に誤解され好き勝手言われていた乃木君は嫌な気分になっていないだろうか?


ちら、と乃木君に視線を向けたが彼は無表情でじっと窓の外を見つづけている。

何を考えてるか全くわからなかった。


「全員席につけー。」


教師の言葉が響いた。

理来は また後でな! と言い残して自分のクラスに戻って行った。