重い足取りで教室に戻ると、生徒達がいっせいにこっちを見てきた。
視線にきづかないふりをして席につく。
金髪君は既に席についていて頬杖をついて窓の外を見ていた。
(どうすればいいんだろう…)
このままだとぼっち確定だ。二年生になればクラス替えがあるけど、それまで一人なんて嫌だ。
まずは誤解を解こう。
乃木東矢君とは何の関係もないことを主張しよう。
ぐ、と机の下で拳をつくった時だった。
「心ー。」
良く知る声が聞こえて視線を向ければ、理来が教室に入って来た。
村上君に軽く声をかけてから真っすぐと私の元に来る。
クラスメイト達から好奇の視線が注がれた。
新入生代表の容姿端麗で可愛い男の子と、入学初日で怖がられる存在となってしまった私。
クラスメイトからすればこれほどまで異色の組み合わせはないだろう。
「お前、いつの間にそこの金髪と付き合ったんだよ。」
「付き合ってないよ!」
「だよな。彼氏が出来たのに幼なじみの俺に何の報告もないなんてありえねーよな。」
理来は作り笑いを浮かべる。まわりの生徒は今の会話を聞いてぽかんとしていた。