悩んでいると私を見てひそひそと話す生徒の声が聞こえた。

「あの子、さっき乃木東矢と話してたんだって。」

「彼女らしいよ。」

「乃木東矢に向かって手振ってるところ見た!」

「こえぇー。」


…心の底から最悪だと思った。

何が悲しくて入学初日から怖がられて避けられなければいけないんだ。

私は何もしていない。

第一、乃木東矢…君とは初対面だしまともに話したことないし彼女なんて有り得ない。

どうにかして誤解を解こうと思い、ひそひそと話している生徒に声をかけようとした瞬間、逃げられた。


気づけば体育館内に新入生はいなかった。ぽつん、と一人残された私は無性に泣きたくなる。


(…学校生活、やっていける気がしない。)