げーこ、げーこ!


「……、」


近くの田圃から連なる蛙の大合唱のせいに違い無かった。


はぁ、もうちょっと優しく起こしてよ。


なんて心の中で蛙に無理な注文を付けた時、


「あれ?」


横を見ると隣で一緒に寝ていた筈の架の姿が無い事に気付く。


何処に行ったんだろ…、


寝ぼけ眼の目を擦りつつ、ぼんやりした頭で考えていると。


「いちる!」


後ろから名前を呼ばれて。


その声が架のものであると悟ったあたしは
ゆっくりと後ろを振り向いた。