「負けず嫌いなんだなぁ、って」


そんなに意固地になるなんて。


「負けず嫌いじゃねーとやってけないからな」


ふふんと誇らしげな顔をする彼にまた笑った。


ああ、芸能人って言ったって歳は18歳。

まだまだ子供なんだ、あたし達と同じで。


それが分かって、ちょっぴり親しみ易さを感じる事が出来たから。


芸能人だからって“全てが特別”な訳じゃ無いんだなぁ。



「っと、こんな所にいつまでも突っ立ってても
仕方ねぇし、コンビニでも探すか」


風がまた吹いて、木々の音を鳴らした時、高塔架はそう言って
あたしの手を取った。


「…うん」


それにあたしは小さく頷いて、



二人、静かな夜を歩き始めた。