「ほらな、やっぱりそう言うと思った」


そう言って、苦笑する男は。


あたしの目の前に佇む男は。



髪は漆黒、切れ長の目に、形の良い鼻筋、艶やかな頬骨。


その顔のパーツ全てに、あたしは確かに見覚えがあった。



コイツは、この人は――!



「高塔架(タカトウカケル)…!?」


「…に見える?」


あたしの問いに、可笑しそうに問い掛け返してくる男は


正真正銘、彼“本人”だと言う事を証明していた。



――目の前に居る、男。


“高塔架”はTVでよく姿を見掛けていた俳優、

所謂“芸能人”だった。