「返事は?」


なんて聞いてくる架はやっぱりちょっと意地が悪い。


そんなの聞かなくたって分かってるくせに。


それには答えず、あたしは尚も溢れ出る涙を拭いながら


架から渡された花束をぎゅっと抱き締めた。



――夢は想いを、想いは夢を届ける。



「ねぇ、俺に誘拐されてくれない?

今度は本気で」



「…バカじゃ無いの」



心なんてずっとさらわれたままだったのに、今更。





空は快晴、星が瞬く街の駅。



――僕達は未来を誓った。



逃げて辿り着いた、いつかの二人が出逢ったこの場所で。




――此処からまた歩き出すんだ。





〈END〉