「これ、架に」
そう言って渡した物は――
「花束…?」
黄色、白、ピンク、紫が並ぶ。
鮮やかな色の花束だった。
それはさっきあたしが街を必死に走り回って手にした物。
花屋さんは何処も閉まっていたからスーパーのお花コーナーの一角にあった物だけれど。
これがあたしに出来る事だと思った。
「綺麗でしょ」
微笑んで花束を渡すあたしに架は驚いた顔をしたまま
小さく頷いて花束を受け取る。
あたしがこの事を思い付いたのは
“君に枯れない花束を”のラストシーンを思い出したからだった。
自分の彼女に沢山の“贈り物”と自分が亡くなる直前、
病室で最期に大きな花束を彼女に渡して
最期の最期まで彼女の事を喜ばせてあげていた“彼”。


