「大丈夫?」 「はい、私は」 男の人の問いに、静かに頷く。 ナースステーション前に掲げられている時計に目を遣ると時刻は21時26分。 架が病院に運ばれてから30分近くが経っていた。 ずっと手を握っているつもりだった。 何があっても離さないでいるつもりだった。 でも現実はそうはいかない。 救急車が病院に着くと、架はすぐに特別室と呼ばれる個室に運ばれた。