「本当はさ、頭の中じゃ分かってたんだ」




「え?」



どの位の時間が経っただろうか。

お互い泣き疲れて無言の時が流れて。


それも大分落ち着いた頃だった。


再び架が口を開いたのは。



「手術、受けなくちゃいけないなって事」



「……。」



「だけど心が付いていかなくて、中々気持ちの整理が出来無くてさ。


結局、今日の今日まで来ちゃって」



「…うん」



「で、昨日ふと病室で思ったんだ。

もしこのまま死んだら俺は誰に何を出来たのかなって。

自分のした事が誰かの為になれたのかなって」


“――それで最後の悪足掻きをしようと思って病院を抜け出したんだ。”