走り出した瞬間、身体に違和感を感じた。

それは徐々に重くなり、冷や汗が額に浮かぶ。


一定のリズムで呼吸をする事が出来無くて。


三回も立て続けに全力疾走なんかするから単なる疲れだ、とか

そんな次元の苦しさじゃ無かった。




“カット!!”


走り切って、台詞を言い終えて。


監督がカットの声を上げた時、

本当はそのままその場に膝を付いて座り込んでしまいそうになった。


けれど、


“もうすぐだから”


“もう少しで終わるから”


と。


それまで持ってくれる様にと自分自身と身体に言い聞かせた。


主役の自分が最後を見届けなくてどうする。