身体中が熱い、


胸が痛い、


呼吸が何だか上手く出来無くて息が苦しい…


熱い、

痛い、

苦しい…


それだけが脳内と身体中を支配していた。


その日はドラマの撮影の最終日。

ワンシーンのリテイクで親友役の男が逃げるのを主人公の俺が走って捕まえると言う内容だった。


走って捕まえるだけの内容と言っても共演者と上手く息を合わせなければならないし、

ドラマだからと言って手を抜いて走る訳でも無く、走るシーンでは実際はモノローグだけが流れ表情だけで
感情を表さなければならないから常に意識を傾けなければいけなくて一筋縄ではいかなかった。


タイミングが微妙にズレたり、表情が監督の思い描いたものの通り出せなかったりで

一回、二回と走り直す。


三回目、の全力疾走の時だった。