それは高塔架16歳の冬だった。


“はーい!
クランクアップです!”


“架くん、お疲れ様ー”


“今回の演技も凄く良かったよー!”


撮影現場でのドラマ収録を終えた後、それが耳にした最後の言葉だった。



賛辞に対して


“有り難う御座います”



いつも通りの返事を返す気力さえもう残って無かった俺はその場に倒れ込んでしまった。



ガタン!


大きな音を立てて倒れ込む俺に周りは騒然となった。


“きゃああ誰か!
架くんが倒れたわ!”


“早く救急車を!”


“しっかりして架くん!”


そんな声が遠くなる意識の中、聞こえた気がする。