…目の前の男は、一体何を ほざいているのだろう。 でも、 「頼むから…」 絞り出すかの様に出された懇願の声。 「いちるちゃんしか頼める人、もう居ないんだ」 蚊の鳴く様な小さい声に、あたしは妙に落ち着きを取り戻した。 訳が分からない、けど。 何だかそれ程悪い人では、無い…? 「何が目的? 金目当ての誘拐? だったら無駄だよ、あたしの家そんなにお金無いから」 「……、」 「それとも何?」