もう着るのやめちゃおうか。
だってもう充分でしょ?
五着もワンピースを着れた。
あの頃のあたしからしたら大きな進歩だよ。
乗り越えられた、ちょっとだけど。
それだけでもう――
でもせっかくの気持ちを無駄にして良いの?
架のくれたチャンスを蔑ろにして良いの?
「…駄目だよ」
握り締めたワンピースの裾がくしゃりと皴を作る。
あの時のあたしも花柄のワンピースを着ていた。
あの言葉を彼の口から聞くまでは、
笑ってた。
可愛いワンピースに身を包んで。
もう着られなくても良いの?
――確かにワンピースなんて着なくても普通に生きて行けるし
生活にだって何の支障も無い。


