「んー、美味しかった!」


「まあ思い付きで入った店にしちゃ美味かったな」


時刻は10時45分。


朝御飯を終えたあたしと架は店を出て駅を降りていた。


「これからどうするの?」


視界一面に広がるショッピングモールロード。


架は辺りを見回すと、


「…ショッピングするか」


そう言ってあたしの手を掴んだ。


「っ」


掴まれた手に、いちいち驚いて息を呑んでしまう。


「どした?」


そんなあたしの緊張に気付かないのか架はきょとんとした顔をした。


「べ、別にっ」


ふいと反射的に顔を逸らしてしまうものの
ずっとそうしていられる訳も無く架に向き直った。