まるで今まで手を掴んでいたのが何でも無かったみたいに。 解放された腕を胸の前に引き下げると 腕がじんわりと柔らかな痛みを伴っている事に気付く。 それは走っている間、ずっと掴まれていたからに違い無かった。 やっぱり、腕を掴まれていたのは間違い無いんだ。 変な事実を確認した後、深い息を吐き 今一度、男の背中を見つめる。 と、そこで男は漸く此方を振り返った。 「っ」 男と真正面から向き合う。