バレンタインまであと7日。
女子は、密かに計画し、男子は、密かに貰う準備をする。

私も『今年こそは!』と思ったけど勇気がいるから渡せない。

帰り道、美沙に片思い中の竜也君にチョコをあげるのか聞いてみた。
「ねぇ?バレンタイン、竜也君にチョコあげるの?」
「ん~。恥ずかしいなぁ~。勇気いるよねぇ~。美波は、翔君にチョコあげるの?」
ニヤついた顔で私に聞いてきた。
「無理だよ~。そんな勇気ないし…」
しばらく沈黙が続いた。
その沈黙を破ったのは、美沙だった。
「ねぇ、うちらってさ、遠くから好きな人見ているだけで全然アッタクしてないよね。今年こそは、手作りチョコ渡そうよ!」
「え~!無理!無理!無理!」
「何言ってんの?!こっちから行動しないと何も始まらないよ!それに…中学最後のバレンタインなんだし…」
「そうだけど…う~ん…」
「うちも渡すんだし、二人一緒なら怖くないよ」
私は、渋々「うん」と答えてしまった。

私は、チョコを渡すと決めてから翔君と目を合わすことができなかった。
毎日ドキドキしていたんだ。