圭吾さんとケンカした。


前の日、圭吾さんはどこかに出かけて、家のみんなが『司さんと和解するらしい』とヒソヒソと話していた。

前に校長先生に会った時、圭吾さんはとてもつらそうだった。

こじれた仲は、元に戻す事ができるんだろうか。


だいじょうぶかなって心配してたのに、

みんなが心配してたのに、

夜遅く帰って来た圭吾さんは、誰とも口もきかずに部屋にこもってしまった。


なのに


次の朝、圭吾さんはいつもとかわらず何事もなかったようにそこにいて、わたしに優しく『おはよう』と言った。


安心したのに悔しくて

なぜか悔しくて

わたしは圭吾さんに突っ掛かってしまった。



今朝は何も食べたくない

具合なんて悪くない

子供みたいにかまわないで!

圭吾さんなんて大嫌い!



ヒステリックに叫んで家を出て、十歩ほど歩いて立ち止まった。