圭吾さんはわたしを引き寄せた。


目の前がキラキラ光る。

えっ? 待って! これって?


圭吾さんの片手がカーテンでも開けるような仕種をして、目の前の景色がグニャっと歪んだ。


おわぁ―――っ!


叫ぶわたしを連れて、圭吾さんは透明な幕に入って行った。


目が回る 目が回る


いきなりひどいよ、圭吾さん

涙目で文句を言うと、圭吾さんは『ごめんごめん』って言ったけど声が笑ってる。

圭吾さんのバカ

でも、もう怒ってないみたいだからいいや


「ここどこ?」

「神社の裏参道だよ」


鳥居が一つ海に向かって立っている。

鳥居の近くに人が集まっていた。鳥居の向こうは崖だ。


「参道って道があるものじゃないの?」


「道はこれからできるんだ。ほら海から突き出ている大きな岩が二つあるだろ? あれを見ていて」