大切なもの

飲み物を飲み終えた私たちは、また校内を回った。

「最後に、ここが保健室」

扉を開けると、真っ白な世界。
どくとくの香りが漂った。

「結構広かったな」
「そうだね。ウチの学校、結構大きいから」

「なぁ、どうして俺が女嫌いか、聞かねぇの?」

椅子に座った野上くんが、ポツリといった。

「……え?」
「前の学校だと、うぜぇくらいになんでだ?って聞かれた――……」
「…野上くんが、聞かれて嫌だと思って。
それに、なにか理由があるんでしょ?
野上くんは、理由もなく人を嫌いになる人には見えないから…」

「っ、俺、さ……中学の時までは、普通だったんだ」

野上くんは、話し始めた――……。