不思議そうな顔をしていると彼は続けた。
「お初天神ってさ、
お初と徳兵衛が命がけで恋をするって人形浄瑠璃で有名なんだけど」
ああ、
それは聞いたことがある。
「近松門左衛門だっけ?」
「うん、そう。
あの話ってさ、
作り話だと思ってたら本当にあった話を浄瑠璃にしたんだってね」
へー。
そうなんだ。
それはアタシも知らなかった。
「出逢って恋におちて、
でも添い遂げられなくて。
結局ふたりが一緒になるには死しかないって。
俺もそんな運命的な恋愛してみたいなっていっつも思ってるんだよね」
「ふーん、
男のひとのくせにそんなんってなんかロマンチストなんやね?」
「それって褒めてんの?」
そう言ってくすっと彼は笑う。

