─プロローグ─


「水嶋さん、おはよう!」

「きゃっ!? し、進藤君!」

空には雲一つない晴天で、気持ちがいい朝。


昇降口で革靴から上履きに履き替えている最中、背後から抱きつかれた。


「今日も可愛いね」

「し、進藤君! ここは昇降口で、目立ってるよ……っ」

「だって、水嶋さんが可愛いんだもん」

「関係ないよ!」

そう言って、進藤君は抱きしめる腕の力を一層強める。


「今日も熱いね……アンタたち」

「えっ、奈月ちゃん! 助けてー!」

友達の奈月ちゃんにも見離されてしまった。


そもそも、みんな知らないけど、進藤隼斗君とはカップルじゃないんです──。

じゃあ、なんでイチャイチャしてるか?──ですか?

話すと長くなる事情があるんです。