あたしたちは森を抜け、お花畑にやってきた。

村からは少し離れているが色んな種類の花が咲き誇っているのだ。

あたしは花を摘んでいると、彼は暇そうにあくびをしているのが目に入った。

「ねぇ」

「ん?」

「その耳はほんもの?」

「ああ。触ってみるか?」

あたしはそっと彼の耳に触れた。

触れた瞬間、ピクッと動いて思わず手を引っ込めたが、再び耳に触れた。

彼の耳はとてもフワフワしてて気持ちがよかった。

「きもちいい…」

「なあ…」

「え?」

「オレのこと恐くないのか?」

「? うん」

「…そっか」

そう言った彼の顔はどこか嬉しそうだった。