そう言うと、
郁斗はあたしを抱き締めた。


「んなこと分かってる」


そんな声が、

温もりが、

吐息が、

心臓の動く音が、


大好き。


だから、
絶対に、負けないんだから。


「帰るか」


「うんっ」


手を繋いで、


すぐ着いちゃう距離を、


ゆっくりゆっくり歩いて帰った。