このまま時間が止まればいいのに...。 このまま体温を離したくない。 すると、あの言葉が頭の中を過ぎる。 『椎の許嫁も紹介しないとね』 っ! ハッと我に返り、椎を突き放す。 「どうした? 歩?」 心配そうにあたしに近づく椎。 椎には将来結婚する許嫁がいるんだ。 「ううん。何でもない」 無理矢理笑顔を作る。 「そうか...」 椎には、何も気付かれていないみたい。 良かった...。