「...返してよ。大事なものなの...」 挑発せずに、焦らず、ゆっくりと言う。 ヘタに挑発して、壊されたらイヤだもん。 でも、こんなあたしの願いは届かなかった。 「大事なものねぇ...。姫くんにでも貰ったの?」 うんうん、とすごい速さで頷く。 違うけどっ。 「だから、返...」 「ふーん。姫くんってこんな趣味してるんだ...。なんか期待ハズレかも」 “有り得ない”というような視線を、ネックレスに向けている。 その言葉が、堪忍袋の緒を削りかかる。