痛い。



頬も痛いけど、違うところが痛い。




あんなにあたしにムカついてたのか。




でも、言い返せないよ...。




考えることを止めて、ただ呆然と座る。




「なにビビってんの?」



え...?



聞き覚えのある声が降ってくる。




「どうして...、夏目がここに...」



窓の縁に両腕を置き、その上に顎を置いてあたしを見下ろしている。



「怒鳴る声と、君の名前が聞こえたから」



微かに口角を上げる。



茶色の瞳が、あたしを捕らえる。



「普通なら持ち前のポジティブで立ち直るよね。どうして今日はそんななの?」



“そんな”ってのは、呆然としてる無様な姿だから?



「あたしにだって...、傷つくことはあるんだから」



弱々しい、小さな声。