1階へ降りるボタンはもう押している。





椎は必死に立ち上がり、手を伸ばそうとする。






「歩っ!!」





扉の閉まるスピードには逆らえず、扉は閉まる。





椎のいた余韻だけが残る。





この会社は、純さんが作った会社。




譲さんや紀子さんが守った会社。





祥子さんが奪えなかったモノ。





それを、壊すなんて許せない。







零れる涙を拭い、気持ちを引き締めて屋上へ続く階段を上る。