「歩。私はあなたの祖母として言うわ。あなたのお母さんを悲しませたのも、あなたから親を奪ったのもみんな、純の仕業なの」
祥子さんは、あたしと目線の高さを合わせて強く言った。
一瞬、心が揺らいだ。
あたしは、宝来と姫宮の血を継ぐ。
祥子さんはあたしの祖母で、大切に想ってくださっている。
でも......
祥子さんのあたしの肩にある手を離す。
「純さんは、亡くなる前にあたしに言いました。『見えるものだけが全てじゃない。時には考え方を変えるのも大事』と...」
考え込むように、動きを止める祥子さん。
「純さんは深く考えてくださる方です。考えがあって、あたしを離したんですよ」
純さんの考え方を認めて欲しかった。
離されたことを憎まないわけじゃない。

