お父さんは、あたしを捨てたわけじゃないんだ。




周りの人からは、捨てた捨てたって言われるかもしれない。





でも、あたしにこのペンダントを残してくれたんだ。




小さい頃に、譲さんが




『歩、いいものをあげるよ』




『いいもの?』




まだ何も分からなかったときに、譲さんが微笑んであたしにくれたもの。




『これだけは、絶対になくしちゃいけないよ』




優しく首につけてくれたこと。





嬉しくて、なぜかとても気に入っていて肌身離さず持っていた。




これは、お父さんがくれたものだったからなんだ。