悠に早速電話で伝えた。
《兄貴、悪いけど。俺たちは、もう忘れることにしたんだ》
「は? 忘れるって、あの子のことをか?!」
常識がないにも程がある。
電話越しでそう怒鳴ると、悠は静かに言った。
《俺だって、忘れたくないよ。でも、俺のせいで弱っていく未来を見たくないんだ。分かってくれよ...》
声を絞り出して言う悠から、いつもの暢気さはなかった。
あとから聞いた話で、未来さんは娘を奪われたショックで寝込んでいたそうだった。
忘却させる催眠術のようなもので、完全に寝込んでいた原因を消すことで
未来さんは元気になった。
それを聞いても、素直に喜べなかった。